
オーストラリア出身のオルタナティブ・ロック・バンド Howling Bells が、約10年ぶりとなる新曲「Unbroken」を Nude Records からリリースした。2014年のアルバム『Heartstrings』以来となる新作で、リリースを記念して11月5日にロンドン・カムデンの The Lock Tavern にて極少キャパシティの特別ライブを行うことも発表されている(チケットは9月23日火曜午前10時より発売予定)。
「Unbroken」は、重厚なギターとメロディアスな展開が絡み合う、陰りを帯びながらも高揚感のあるアンセム。ヴォーカル Juanita Stein の独特の歌声が、夢のような粘り強さと希望を湛えたリリックを包み込む。彼女は楽曲についてこう語っている。
「それを子どもっぽいと言うか、愚かだと言うかは人それぞれだけど、何か大きなことが起こると信じるには、そういう気持ちが必要なの。20年以上バンドとして生き残るには、並外れた粘り強さと、ある種の“非合理さ”が求められるの。音楽そのものへの意志と愛情があるからこそ続けられる。『Unbroken』はまさにその証なの。」
本作は、長年の友人でありコラボレーターでもあるプロデューサー Ben Hillier(Blur、Depeche Mode、Elbow)と共に、彼の Agricultural Audio Studios でレコーディングされた。公開されたパフォーマンス映像では、Juanitaと弟でギタリストの Joel Stein、そしてドラマー Glenn Moule が再びステージに集結している。
11月5日に開催されるロンドン公演では、バンドがフル編成で再登場。親密な空間で新曲を披露する貴重なライブになる予定だ。
「Unbroken」は、ミッド2000年代のオルタナティブ・ロック・シーンに独自の存在感を刻んだバンドの、力強い再始動を象徴する1曲でもある。シドニーで結成され、のちにロンドンへ拠点を移したHowling Bellsは、2006年のデビュー作『Howling Bells』でデヴィッド・リンチ的なノワール感とメロディの美しさを融合させ注目を集めた。Tom Waits、Sonic Youth、Nirvana、Fleetwood Mac、Björk などに影響を受けた彼らの音楽は、幻想的でありながらも荒々しいロックンロールの魅力を併せ持つ。
その後も2009年の『Radio Wars』、2011年の『The Loudest Engine』、2014年の『Heartstrings』と作品を重ねてきたが、活動停止の正式な発表もないまま“静かな10年”を迎えることとなった。Juanitaはその理由を「ただ“人生が続いた”だけ」と語る。
この間、Juanitaはソロとして4枚のアルバムを発表し、Joelは Glassmaps 名義で活動。JoelとGlennは Brandon Flowers(The Killers)のソロ・バンドでも演奏していた。そして何より、3人は常に親しい友人関係を保ち、再び音を鳴らす日を心のどこかで待ち続けていたという。