
イタリア北東部フリウリ地方出身の音楽家マッシモ・シルヴェリオが、セカンドアルバム『Surtùm』をOkumよりリリースした。本作は、前作『Hrudja』に続きManuel Volpeをプロデューサーに迎え、Nicolas Remondino、Volpeとの共同アレンジによって制作されている。長年ツアーを共にしてきたトリオとの深い音楽的関係性の中で生まれた作品であり、シルヴェリオの表現の新たな段階を示す内容となっている。
アルバムには、C’mon TigreのMirko Cisillinoによるホーンおよびチューバ、Teho Teardo作品でも知られるFlavia Massimoのチェロ、Benedetta Fabbriのヴァイオリン、Martin Mayersのアルプホルンなど、多彩な演奏家が参加。フォークと現代音楽、クラシックと実験的要素が交差する、奥行きのある音響世界を形づくっている。
タイトルのSurtùmは、カルニック語で「湿地」「沼地」を意味する言葉で、シルヴェリオはそこを、歌や祈り、記憶が沈殿し、変容し、再生する場所として捉えている。現代社会に蔓延する暴力性や憎悪に対し、本作は祈りや内省を通じて向き合う試みでもある。現実と形而上、生命と死、その境界に身を置きながら、人間の存在や記憶の行方を静かに問いかける。
シルヴェリオはカルニック語という古いフリウリ語の一形態を用いて歌い、言葉と音が不可分の表現を追求してきた。デビュー作『Hrudja』は国際的にも高い評価を受け、Targa Tenco賞の方言部門にノミネートされるなど注目を集めた。『Surtùm』はその流れを受け継ぎつつ、より深い精神性と音楽的探究を示す作品として位置づけられる。