
イラン出身で現在ロサンゼルスを拠点に活動する音楽家/プロデューサー/ソングライターのAzam Ali(アザム・アリ)が、新曲「Synesthesia」のミュージックビデオを公開した。本作は、11月14日にCOP Internationalからリリースされる同名アルバム『Synesthesia』のタイトル・トラックとなる。
アリは同曲について、「私の音楽は、時間や場所、肉体という脆い器の制約を超え、境界のない宇宙へと踏み出すための招待です。聴く人が自由に呼吸し、より大きな存在の一部であることを感じてほしい」と語っている。
タス・リマーが監督を務めたビデオでは、アリが花々や植物に囲まれた水中に身を沈める姿が描かれ、ジョン・エヴァレット・ミレイの名画《オフィーリア》を想起させる映像美を生み出している。沈みゆく身体、揺らぐ水面、交錯する色彩――“シナスタジア(共感覚)”というテーマを象徴するような感覚的な映像作品に仕上がっている。
『Synesthesia』は美しさの中に深い哀しみと省察を湛えた作品でもある。その根底には、世界各地で続く戦争や衝突、そしてそれが人々の魂にもたらす痛みがあるという。アリは次のように語る。
「社会はしばしば、アーティストに政治的なことには沈黙するよう求めます。しかし、歴史を見れば、芸術家たちは常に社会や政治の変革の最前線に立ってきました。私の人生もまた、戦争や移住、政治の重圧に形作られたものです。そうした経験を切り離して音楽を作ることなどできません。」
音楽的には、ポストパンクの鋭いエッジと中東・ペルシャ音楽の古典的テクスチャーを融合させ、時代を超えたサウンドを展開。前作シングル「To Pieces」では、「10代の頃に抱えていた激しいエネルギーや反逆心を呼び起こすような自由さと荒々しさがある」とアリ自身が語っている。
そのほか、「Green and Gold」では緻密なプログラミングと多層的なシンセサウンド、「Autumn of Goodbye」では穏やかで繊細なアンビエンスが印象的だ。さらに、ティム・バックリー「Song to the Siren」とナタリー・マーチャント「This House Is On Fire」の2曲をカバー。前者ではオリジナルの神秘性を引き継ぎながらもアリ特有のヴォーカル表現で深化させ、後者ではカリプソ調の原曲を中東的リズムで再構築している。
アリはイラン生まれ、インド育ち。これまでにJUNO賞に2度ノミネートされ、Hollywood Music in Media Award(HMMA)を受賞した実績を持つ。
これまでにSystem of a Downのセルジ・タンクアン、Bauhausのピーター・マーフィー、The Crystal Method、ミッキー・ハートらと共演しており、映画・テレビ音楽の分野でも多くの作品に参加している。
これまで携わった主なタイトルには『ジョン・ウィック:コンセクエンス』『マトリックス レボリューションズ』『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』『300』『ファイト・クラブ』『プリズン・ブレイク』『トゥルーブラッド』などが含まれる。
また、ゲーム音楽の分野でも『Uncharted 3』『Call of Duty』『Prince of Persia: The Forgotten Sands』『Darksiders』『Syphon Filter: Logan’s Shadow』などに参加しており、2007年にはHMMAで「Best Original Song」を受賞している。
『Synesthesia』は、2025年11月14日にデジタル、CD、アナログ盤でリリース予定。
タイトル曲「Synesthesia」は、現在各種ストリーミングサービスにて配信中。