
Mathias KomとMichael Cloud Duguayが、コラボレーションアルバム『Closed City』より新曲「Old Fire」を公開した。アルバムはWatch That Ends The Night Recordsより3月27日にリリースされる予定で、本楽曲は先行シングルとしては2曲目にあたる。
約8分におよぶ「Old Fire」は、作品序盤に配置された重要な楽曲で、アルバムの中心に据えられた架空の都市の地下構造を描く内容となっている。冒頭は抑制されたトーンで始まり、その後は歪んだギターとブラストビートによる展開へと移行し、緊張感のあるサウンドが続く。さらに楽曲は、静的なアンビエントパートと推進力のあるパートを行き来しながら進行し、随所に挿入されるブラスの即興演奏が構造に変化を与えている。
Duguayは本楽曲について、穏やかな導入部と対照的な展開を意図し、緊張と解放のバランスを重視した構成であると説明している。一方、Komは楽曲のテーマを「都市の住民が用途を忘れたまま維持し続けている古い炉」として位置づけている。
『Closed City』は、孤立や隔離といったテーマを軸に構築されたコンセプトアルバムで、フィンランド東部の北カレリア地方におけるアーティスト・レジデンスで制作の基盤が築かれた。両者は極寒の環境下、歴史的な木造建築で共同生活を送りながら楽曲制作を進め、地域の民俗音楽の要素も取り入れている。
Komは民族音楽学の研究者として、旧ソ連の「閉鎖都市」に関心を持ち、本作の着想源とした。外部から隔絶された都市を舞台に、住民が曖昧な労働を続ける様子や、外界との接触が拒まれる構図が物語として描かれている。
音楽面では、実験的なメタルやフォーク、ブラスアンサンブルが組み合わされており、不安定なピアノの響きや低音ブラスの音色が作品全体の質感を形成している。録音はカナダ・セントジョンズで行われ、教会跡地を利用した環境で制作された。
本作は、隔離と交流のあいだにある緊張関係をテーマとしながら、多様な音響要素を用いて構築された作品となっている。
