
ポートランド拠点のポストパンクバンド Rayon が、新曲「Running」を公開した。同曲は、Little Cloud Recordsからリリースされているシングル『Shopping / Running』に収録され、デジタル配信に加え7インチ・アナログ盤としても展開されている。
「Running」は、身近な人が依存症のサイクルから抜け出せずに苦しむ姿を見守る中で生まれる不安や緊張をテーマにした楽曲だ。停止や巻き戻し、早送りといったテープ操作のノイズをあえて残し、切迫感のあるスピード感を強調。サウンドそのものが不安定さを内包し、楽曲の主題と密接に呼応している。
バンドを率いるのは、デトロイト出身でノース・ポートランド在住の Eric Sabatino。Rayonには Sun Atoms、Yuvees、Pastilla、Martha Stax など、ポートランドのシーンで活動するメンバーが参加している。「Running」は、Sabatinoの頭の中で数か月間鳴り続けていたベースとドラムの反復的なグルーヴを軸に制作され、ギターとボーカルは老朽化した Dynacord のテープエコーを通して録音された。ピッチや速度が揺らぎ続ける歪んだ音像は、楽曲が描く精神的な不安定さを物理的に再現している。
ミュージックビデオは、ヴィンテージのハンディカムで撮影され、修復されたシトロエンのワゴンで移動するバンドの様子を追うローファイな内容となっている。高速道路の標識が映し出される終盤のシークエンスは、楽曲の高揚と不穏さを土地の記憶と結びつける印象的な演出だ。
本作では、Larry Crane(Cat Power、Sleater-Kinney、The Decemberists)と Jackpot Recording にてミックスを行い、マスタリングは Timothy Stollenwerk(Yo La Tengo、Grouper)が担当。雨の週末にガレージ・スタジオで16トラックのアナログテープを用いて録音されるなど、制作工程全体を通してアナログ機材へのこだわりが貫かれている。
『Shopping / Running』は、消費社会を皮肉ったA面「Shopping」と、より切迫した表情を持つ「Running」を収めたシングルとして、Rayonの現在地を示す作品となっている。