Interview: Gnaw

Between the DoorsFEATURE, INTERVIEWS11 hours ago35 Views

シンガポールを拠点に活動するGnaw(ノー)は、90年代オルタナティブ・ロックやグランジを軸に、ノイズポップ、パワーポップ、ドリームポップ、hypergazeなどを横断しながら独自のサウンドを形作っている。デビューEP『Inside a Machine That’s Glistening』で向き合った「chaos」と対比、ジャンルに縛られない表現、ビジュアル・アイデンティティ、シンガポールという環境、そして自由に進化し続けるための姿勢が浮かび上がる。

シンガポールを拠点に活動するGnaw(ノー)は、90年代オルタナティブ・ロックやグランジの感覚に、ノイズポップ、パワーポップ、ドリームポップ、デジタル・ノイズ、hypergazeなどを重ねながら、自分たちのサウンドを形作っている。2026年4月に発表したデビューEP『Inside a Machine That’s Glistening』では、激しいディストーションやマシンガンのようなドラムと、クリーンなギターや柔らかなボーカル、ダウンテンポのビートといった異なる要素をひとつの曲の中で組み合わせている。
その音楽には、野心や自己疑念、欲望、成功をめぐる問い、燃え尽きといった感情が込められている。一方で、カオスを音楽の中に捉えるためには、むしろ緻密で意図的なプロセスが必要だったという。異なるジャンルを自分たちを縛るものとしてではなく、曲のためのツールとして扱いながら、まだ自分たちが聴いたことのないものを作ろうとしている。
Gnawにとって、ビジュアル・アイデンティティも重要な制作要素のひとつだ。音楽から影響を受けたビジュアルの方向性をデザイナーのKelleyreallyと共有し、プロジェクトの世界を形作っている。また、トレンドを取り入れる際にも、それが自分たちの目的やビジョンに合っているのかを考えることを大切にしている。
今回のインタビューでは、『Inside a Machine That’s Glistening』に込めた感情や「chaos」という考え方、相反する要素を組み合わせる理由、シンガポールという環境が創作に与える影響、ライブで音楽が変化していく感覚、そしてこれからのGnawがどのような表現を探っていくのかについて話を聞いた。


――Gnawが形になっていく以前、どのような音楽やアート、あるいは経験が、あなたたちのクリエイティビティや世界の見方に影響を与えていましたか? 特に、自分たちでも何かを作りたいと思うきっかけになったアーティストやシーン、出来事はありましたか?

私たちは、Death Grips、black midi、Lightning Bolt、Boris、Sleigh Bellsのような、すごくカオティックなサウンドと、Big Thief、Red House Painters、The Strokesのような、もっと柔らかくてポップな感覚の間を行き来していました。そこから、その両方を取り入れた音楽を探すようになったんです。Jane Remover、Liz Phair、Nine Inch Nails、System of a Down、Lambrini Girls、Deafheavenなどですね。
System of a DownやDeafheaven、Jane Removerのようなアーティストが、ジャンルの間を行き来するやり方が私たちはすごく好きです。ジャンルをアーティスティックな表現のためのツールとして使っていて、その曲のインパクトやメッセージを届けるために機能させている。ジャンルによって自分たちを縛っているわけではないんです。
私たちは、ジャンルって恣意的なものなんだと気づきました。だから、バンドを定義するものとして捉えるべきではないと思っています。ジャンルは、曲のための手段であるべきです。私たちにとっての課題は、自分たちの考えを曲げずに、それをひとつのまとまりとして成立させることでした。

――Gnawの音楽は、カオスとカタルシスが交わる場所として語られることがあります。サウンドそのものを超えて、その考え方はアーティストとしての姿勢にとってどのような意味を持っていますか? カオスは意図的に追い求めているものですか? それとも、結果をコントロールしようとすることをやめたときに自然と現れてくるものなのでしょうか?

間違いなく、私たちは恐れずに探っていきたいし、意図的に触れていきたいものです。ある意味、カオスは私たち全員の中にあるものだと思うので、それを自分たちの曲にも反映させたかった。でも同時に、そのカオスの中にある柔らかさや静けさも受け入れたいと思っています。
面白いのは、音楽の中にカオスを捉えようとすると、実際にはそのやり方をすごく緻密に、意図的に考える必要があると気づいたことです。
だからある意味では、私たちの音楽の中でカオスを追い求めて、それを捉えるためのプロセスは、すごくコントロールされたものだったんです。

――デビューEP『Inside a Machine That’s Glistening』では、野心や自己疑念、欲望、そして成功をめぐる問いが扱われています。これらの曲を書いていたとき、そうした感情を理解しようとしていたのでしょうか。それとも向き合おうとしていたのでしょうか。あるいは、ただそのときのままに捉えようとしていたのでしょうか?

たぶん、その全部が組み合わさったものだと思います。こういう感情や問いは、私自身が抱えているものなので。日常生活の中では、それを言葉にするのがちょっと難しかったり、あるいは少し気恥ずかしかったりすることもあります。
だから、曲を書くことが、それを探っていくための方法になったし、ある意味では、その緊張を解放する方法にもなりました。
答えを出すことではなくて、ただそれを表現して、そこにあるものとして受け入れることなんです。

――Gnawの音楽には、美しく感じられるものと、耳に鋭く、あるいは不穏に感じられるものの間に、強い緊張感があります。どのような矛盾や不完全さに、最もクリエイティブな魅力を感じますか? そして、なぜ相反する感情を隣り合わせに置くことに惹かれるのでしょうか?

すごくいい質問ですね。私たちがやろうとしていることに気づいてくれて、ありがとうございます。
最初は、自分たちのサウンドを見つけることから始まりました。そういう対比をどんどん使うようになっていくうちに、これが私たちの曲を完成させるものなんだと感じるようになったんです。相反する感情の並置がないと、もうGnawの曲には感じられなかった。
私たちは、激しいディストーション、クレイジーなマシンガン・ドラム、変則的な拍子と、クリーン・ギター、柔らかなボーカル、ダウンテンポのビートの間を行き来するのがすごく好きです。
この対比は、退屈というところから生まれたんだと思います。もしかしたら私たちはナイーブなのかもしれないけど、ひとつの曲の中に2つか3つのジャンルと、それぞれの典型的な要素を入れて、今まで聴いたことのないものを作りたいだけなんです。
そうすることで、親しみやすさを残しながらも、矛盾したものにすることができます。

――Gnawの音楽は、緊張を解消したり、リスナーを心地よくさせたりすることに、必ずしも関心があるようには思えません。アートには、何らかの解決を提示する責任があると思いますか? それとも、不確かさや不快感、答えのない問いを残すことにも、同じように意味があると思いますか?

もちろん、そんなことはないと思います。アートは、真実と向き合うことにもなり得ますし、それは本当にアーティストの意図次第だと思います。
私たちは、自分たちの世界観や内面の考えを映し出すような音楽を作りたかった。たぶん私たちはかなりいろいろなものに苛まれていて、それを不幸にも自分たちの音楽に外へ出してしまったんだと思います。
もし私たちの音楽が、聴いてくれた人に不快感を与えながらも、最終的には安心感や、何らかの解決を感じてもらえるのなら、それは本当に素晴らしいことだと思います。
もしかしたら、それはこれからの作品で目指していけることなのかもしれません。

――Gnawにとっては、バンド名からビジュアル・アイデンティティ、プロジェクトを取り巻く空気感に至るまで、音楽そのものと同じくらい周囲の世界が重要に感じられます。その世界を作り上げていくことについて、どの程度意識的に考えていますか? また、単に作られたものではなく、本物だと感じられるアーティスティックなアイデンティティとは、どのようなものだと思いますか?

私たちにとって、プロジェクトのビジュアル面を作っていくことは、すごく密接で、よくキュレーションされたプロセスです。音楽もこのプロセスに影響を与えていますが、デザイナーのKelleyreallyが、それをまったく新しいレベルまで引き上げてくれました。
彼女は音楽も、このプロジェクトが何についてのものなのか、私たちが何をやろうとしているのかも理解していました。だから、すごく意図的で、音楽を補完するものになったんです。ビジュアル・アイデンティティは、間違いなくこのプロセスにおいてすごく重要な部分です。
本物のアーティスティックなアイデンティティというのは、そのプロジェクトにとって意味が通っていて、自分たちが作っているアートを高めたり、よりよく見せたりするものでなければいけないと思います。
私たち自身もそうですが、トレンドを追いたくなることはよくあります。トレンドに価値がないと言っているわけではありません。でも、そのトレンドが自分たちの目的やビジョンに合っているのかを、自分たちに問いかけることが大事なんです。
20年後に振り返ったときに、「やらなければよかった」と思うのか、それとも「やってよかった」と思うのか。

――シンガポールで活動するアーティストとして、周囲の環境、文化的、社会的なもの、あるいは単純に日々の生活は、あなたたちのクリエイティビティや自己表現についての考え方に影響を与えてきましたか?また、シンガポールでアートを作ることについて、国外の人々には伝わりにくいと感じる部分はありますか?

はい、間違いなくあります。シンガポールはすごく興味深い場所で、東からも西からもたくさんのものを吸収しています。それによって、異なる文化が交差するような二面性が生まれていて、そこから面白くてオリジナルなアーティストがたくさん生まれていると思います。
それも間違いなくあります。シンガポールはとても小さいので、ものすごく具体的なローカルのことについて話すと、それを理解できるのはシンガポール人だけ、ということもあります。

――Gnawのライブ・パフォーマンスでは、レコーディングとはまた違った身体的なエネルギーが音楽にもたらされることがあります。Gnawの音楽をライブの空間へ持ち込むうえで、最もワクワクするのはどんなことですか? また、レコードではそうならないような予測不可能さを、ステージ上であえて残すことはありますか?

私たちにとって、オーディエンスの存在は、ライブをする楽しさの大きな部分を占めています。会場のエネルギーを受け取ることで、曲はまた違った命を持つようになりますし、レコードより少し予測不可能なものになる余地を残しておくのが好きです。
ライブセットを常に新鮮なものにしておく方法を考えていて、アレンジを変えたり、サンプルを使ったり、未発表の曲を披露したりしています。

――Gnawにとって今回が日本での初めてのライブであり、初めての海外ツアーの一環でもあります。初めてシンガポールの外のオーディエンスにGnawの音楽を届けることについて、最も楽しみにしているのはどんなことですか? また、日本のオーディエンスと出会うことについて、特に興味を持っていることや、緊張していることはありますか?

正直、Gnawを自分たちのローカル・シーンの外へ持っていけることにワクワクしています。日本のリスナーのみなさんにも、私たちのライブ・パフォーマンスを楽しんでもらえたらと思っています。
特に日本は、すごく豊かで深い音楽文化があります。私たちが大好きなバンドの中にも、この場所から出てきたものがたくさんあります。だから、ここで演奏できることは本当に特別です。
会場がどんなエネルギーになるのか、そしてオーディエンスが私たちの音楽をどう受け取るのかを見るのが楽しみです。

――Gnawが進化を続ける中で、クリエイティブな面で、以前よりも大切に守るようになっているものはありますか? その一方で、音楽や期待、あるいは「Gnawはこうあるべきだ」という考え方について、手放してもいいと思うようになったものはありますか?

私たちは、進化していく自由を守ること、そしてGnawを特定のジャンルやレーベルにきれいに当てはめなければならないと感じないことを、より大切にするようになっていると思います。
同じレコードを二度作るようなことは絶対にしたくない。でも、それでも自分たちらしさや魂は残したい。
もちろん、Gnawにはものすごく予測不可能であってほしいし、その予測不可能性を受け入れたいと思っています。
そのプロセスから何が出てきたとしても、それが自分たちの好きなものなら、そこへ進んでいきます。

――もし音楽ジャンルや楽器、他のアーティストへの言及を使わずにGnawを表現するとしたら、どんな言葉、イメージ、色、場所、感覚を選びますか? 誰かが初めてGnawに触れたとき、どのような世界に足を踏み入れてほしいと思っていますか?

Gnawがひとつの場所だとしたら、地球上で最も寒い場所と、最も暑い場所の両方だと思います。
そこを旅することは、ときには南極の極寒から、燃えさかる地獄の底へ飛び込むようなものかもしれません。
その強烈な変化があったとしても、それでもみんなにはそこにいる時間を楽しんでもらえたらと思っています。
音楽そのものを超えて、私たちの曲の核にあるメッセージをリスナーに理解してもらえたらと思っています。


Gnaw

シンガポールを拠点に活動するノイズポップ/オルタナティブ・ロック・バンド。90年代オルタナティブ・ロックのロマンティシズムにマシンガンのようなドラムとファズを重ね、デジタル処理やノイズによって変形させたリフ、hypergazeに影響を受けた高揚感を組み合わせたサウンドを展開している。2026年4月にデビューEP『Inside a Machine That’s Glistening』を発表。作品では、記憶や移り変わりをめぐる物語を描きながら、パワーポップの即効性と鋭いギター、Tara Tanの慎重で囁くようなボーカル、Zakhran Khanの緻密なリズムを組み合わせている。EPには「Star」「Gash」「Treats」「This Is My Life Now」の4曲を収録し、驚きや恐れ、疲労といった感情の間を行き来する。


開催日 2026年10月27日(火)
時間
開演時間 19:00
開場時間 18:30
会場 新宿MARBLE (東京都)
東京都新宿区歌舞伎町2-45-2 カイダ第3ジャストビルB1F
出演者
Gnaw
Wednesday Wonderland.
2beef
ghost girl in my bed

ELECTRIC-FUZZ!!

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