Laora Gein

Interview: Laora Gein

Between the DoorsINTERVIEWSFEATURE3 hours ago128 Views

Laora Gein

Strawberry LustのLaora Geinは、バンド、DJ、ビジュアル・アートを横断しながら、自身の表現を広げている。ダーク・ウェーブ、ノイズ、シューゲイズ、EBM、ハイBPMのエレクトロニック・ミュージックから映画のサウンドトラックまでを組み合わせ、DJセットをひとつの世界として構築。異なるシーンや文化をまたぐ活動、Strawberry Lustとの違い、音楽的ルーツ、ビジュアル表現、そしてこれから探求したい映像作品について語った。

Strawberry Lustのボーカルとして知られるLaora Geinは、ひとつの肩書きだけでは捉えきれないアーティストだ。音楽だけでなく、アートワークや写真、ファッション、ビジュアルデザインにも関わり、自身のDJセットでは、Strawberry Lustとはまた異なる感覚を音にしている。

今年2月には来日し、DJセットを披露した。ダーク・ウェーブやノイズ、シューゲイズ、EBM、ハイBPMのエレクトロニック・ミュージック、さらには映画のサウンドトラックやセリフまでを組み合わせ、ひとつのセットをひとつの世界として組み立てていく。音楽的なルーツも幅広く、EDMからノイズ、インディー・バンドまで、さまざまな音楽から受けた影響が現在のDJセットへとつながっている。

Strawberry Lustでは、よりダークでコンセプチュアルな方向へと進もうとしている一方、異なる国やシーンのアーティストとのコラボレーションも続けている。「SILK」で共演したhoneyboiとの作品についても、Laoraは異なる国や文化をつなぐ音楽の可能性について語っている。

DJ、バンド、ビジュアル。複数の表現を行き来しながら、それぞれの場所で自分の世界を広げていくLaora Gein。今回のインタビューでは、DJとしての表現や音楽的ルーツ、Strawberry Lustとの違い、異なるシーンや文化の中で活動すること、そしてこれから探求していきたい映像やビジュアル表現について話を聞いた。


――2月に日本へ来られた際は、Strawberry Lustとしてではなく、DJとしての来日でした。DJセットを通して日本に自分自身を紹介したいと思ったのはなぜでしょうか。また、その経験を通して、自分自身について新たに気づいたことはありましたか?

Laora: 最初にDJとして日本に来たのは、DJというのがStrawberry Lustとは別に存在している、私のもう一つの側面だからです。メンバーの中には以前に日本へ来たことがある人もいましたが、私は一度も来たことがなかったので、Manabuさん(electric fuzz)が機会をくださったときに、自分なりの形で日本を体験してみたいと思いました。

実は学生の頃からEDMが好きだったので、ずっと自分の世界の一部ではあったんです。その経験を通して、DJはバンドとは別のものというだけではなく、ずっとそこにあった自分のアイデンティティの一部なんだと気づきました。

――ソロでのDJセットでは、ご自身のダーク・アンビエントの楽曲とGen Zポップを組み合わせていると説明されています。一見すると異なるようにも思えるこの二つの世界を、Laoraさん自身はどのような感覚でつないでいるのでしょうか。また、DJとしてプレイする際には、どのような感情的・感覚的な旅を作りたいと考えていますか?

Laora: 私にとって、その二つをつないでいるのは「現実から逃げる」という感覚です。

ダークな美学が好きなのと同時に、速くてエネルギッシュな音楽も好きなんです。そういうダークな側面を、人を動かすような音楽の中に入れるのが好きです。ノイズとハイBPMは一見まったく違うものに思えるかもしれないけど、どちらも音に完全に飲み込まれてしまうような感覚を生み出せるんですよね。

映画のサウンドトラックやセリフをサンプルとして使うのも好きです。そうすると、セット全体がひとつの物語のように感じられるから。しばらくの間、別の場所に入り込んだような感覚をみんなに味わってほしいんです。

――Laora GeinとしてDJをするとき、その音楽や感性はStrawberry Lustで築いてきた世界の延長線上にあると考えていますか。それとも、より個人的な部分や影響を強く表現できる場所だと感じていますか? また、DJとしてのスタイルを形作ってきた音楽的なルーツやアーティスト、経験について教えてください。

Laora: Strawberry Lustとはつながっていると思います。でも同時に、もっと個人的な自分の側面を前に出すこともできるんです。

Strawberry Lustから引き継いでいる要素もあります。シューゲイズのノイズや、壁のような音の重なり、ドリーミーだったり、眩暈のような感覚だったり。でも、雰囲気はかなり違います。Strawberry Lustがもっとロマンティックで夢のような感じなのに対して、私のDJセットはもっとダークで、奇妙で、カオティックで、遊び心のあるものだと思います。

音楽的なルーツは、実はかなり幅広いです。学生の頃からCalvin HarrisやKaskade、Crystal Castles、Charli XCX、Grimesみたいなアーティストを聴いていました。でも、ノイズやインディーバンドの音楽も好きで、The Raveonettesなんかも聴いていました。最近はNinajirachiやSnow Strippers、Frost Childrenも聴いています。そういうものが全部、いつの間にか自分の頭の中にある同じ奇妙な世界の一部になっていったんだと思います。

――音楽だけでなく、アートワーク、写真、ファッション、ビジュアルデザインなど、さまざまな表現に携わっています。そうした異なる表現方法は、DJとしての活動にどのようにつながっているのでしょうか? セットを組む際には、選曲や曲順、展開に影響するような、具体的なビジュアルの世界やイメージ、質感、雰囲気を思い浮かべることはありますか?

Laora: 私はたいてい、音楽について考えるより先に、ビジュアルから考えます。まずシーンや質感、あるいは特定の雰囲気を想像して、その世界の中に存在できそうな音を探していくのが好きなんです。

例えば、以前東京でDJをしたときは、ミステリアスで、どこか儀式的な感じのものを作りたいと思っていました。だからダークウェーブと詠唱のような音から始めて、そこからメタルのボーカル・サンプル、シューゲイズの壁のような音、EBMへと移って、最後はもう少しロック寄りのものにしました。『レクイエム・フォー・ドリーム』のサンプルも使って、エコーもたくさん入れました。

セットがゆっくりと夢のようなものに変わっていって、そこから目覚めないままでいるような感覚が好きなんです。

それはビジュアル作品やアルバム・デザインに取り組むときも同じです。まずテーマを決めて、そこから音楽やイメージ、その他のディテールを広げていくことが多いですね。

――つくばで開催されるPULSE FESTIVALでは、一般的なシューゲイズやオルタナティブ・ロックのライブとはかなり異なり、クラフトビールのフェスティバルという環境の中で、さまざまなバックグラウンドを持つDJやライブ・アクトと共演されます。そうした環境に、どんなものを持ち込むことを一番楽しみにしていますか? また、ご自身のセットを通して、どのような雰囲気を作りたいですか?

Laora: DJとしてこういうフェスティバルに参加するのは今回が初めてなので、すごく楽しみな反面、少し緊張もしています。

実は以前、広州で似たようなビールフェスティバルに出演したことがあるんです。でも、そのときはStrawberry Lustとしてでした。だから、こういう環境がどんな雰囲気になるのか、すでに少しイメージはあります。

今回のセットでは、ミステリアスでありながら、突然開けて、解放されるような感覚を作りたいと思っています。

――DJは、選曲や曲順、トランジション、そしてその場の反応を通して、リアルタイムで体験を形作ることができます。そのプロセスの中で、特にクリエイティブな魅力を感じるのはどんなところでしょうか? また、Strawberry Lustでは同じような形では実現できない、DJセットだからこそ探求できる感覚や緊張感、自由さのようなものはありますか?

Laora: DJで一番面白いと思うのは、反応できる自由さですね。その場で何が起きているかによって、セット全体の雰囲気を変えることができます。

バンドの場合は、基本的にあらかじめ決められた構成がありますよね。

でも、バンドだって完全に固定されている必要はないと思うんです。日本にいる間にBorisを観て、すごく刺激を受けました。いろいろなコンセプトに合わせてセットを変えていくことができる、そのやり方を実際に観たんです。それから、シューゲイズで知られているOeilが、バンドでのパフォーマンスとはまったく違う形でDJセットをしているのも観ました。

それを見て、自分自身をひとつの決まった枠の中に入れないことについて、もっと考えるようになりました。

音楽がいつも同じでなければならないのではなく、生きたままでいられるという考え方が好きなんです。

――11月には、イタリアのアーティストとのDJプロジェクトで再び日本を訪れる予定だそうですね。ひとりでパフォーマンスする場合と比べて、DJユニットとして活動するときには、セットへのアプローチはどのように変わりますか? 異なるバックグラウンドを持つ二人のアーティストがひとつの音楽世界を作ることで生まれるクリエイティブな空間に、どのような面白さを感じていますか?

Laora: 一人でやるのと比べて、二人でやる場合は、まずお互いの共通点を見つける必要があります。つながる部分を見つけることができれば、そこからクリエイティブなプロセスもライブセットも自然に流れていくんです。

一人のビジョンだけに従うのではなく、二人で共有できる音楽的な言語を作って、それがどこへ連れていってくれるのかを見る必要があります。

それに、お互いが好きなものを聴くこともいつも楽しんでいて、そこから新しいものを作ろうとしています。だから、そういうプロセス自体がすごく面白いんです。実際に、二人でひとつの世界を作っているんですよ!

――音楽とビジュアル・ワークの両方を通して、中国と日本を行き来し、中国国外のアーティストとも活動されています。「SILK」で共演したhoneyboiもその一人だと思います。異なるシーンや文化をまたいで活動してきたことは、ご自身のアーティストとしてのアイデンティティや、これから作りたい作品についての考え方に、どのような影響を与えていますか?

Laora: 中国や日本、そしてほかのシーンを行き来して活動してきたことで、自分たちの音楽に必ずしも強い地理的なラベルを付ける必要はないんだと感じるようになりました。

初めてStrawberry Lustを聴いた人に、すぐに私たちがどこから来たのかを分かってほしい、というわけではないんです。それよりも、どこにいる人であってもつながることのできるものを作ることに興味があります。

「SILK」でのhoneyboiとのコラボレーションのように、異なる場所のアーティストと一緒に活動することで、その感覚はさらに強くなりました。音楽は、すべてを言葉で説明しなくても、異なる国や文化の間をつなぐ架け橋になれるんです。

これからも、そういうことを続けていきたいですね!

――これから先を見据えたとき、ソロでのDJ活動、Strawberry Lust、ビジュアル・アート、あるいは別のコラボレーションなどを含め、今もっとも取り組んでみたいパフォーマンスや新しい作品はありますか? これまで十分に実現する機会がなかったことで、これから探求してみたいことがあれば教えてください。

Laora: Strawberry Lustでは、もっとダークでコンセプチュアルな方向に進んでいきたいと思っています。全部の曲がまったく同じ場所に属しているように感じるのではなく、曲それぞれに独自の雰囲気や世界があるようにしたいです。

それから、ビジュアル作品ももっと発展させていきたいと思っています。特に、もっと実験的なデザインやメタルに関連したデザインについては、まだまだ勉強しているところです。でも、今知っていることの中だけに留まるのではなく、これからも探求していきたい。新しいことを学び続けたいんです。

それから最終的には、映画や映像作品にももっと関わってみたいです。どちらも大好きなので!

まだ実現する機会がなかったことは、たくさんあると思います。

――Strawberry Lustではなく、DJセットを通して初めてLaora Geinというアーティストに触れる人がいたとしたら、自分自身について、アーティストとして一番伝えたいことは何でしょうか?

Laora: カオティックな矛盾。


プロフィール

Laora Gein

Laora Gein

中国・広州を拠点に活動するシューゲイズ/ドリームポップ・バンド、Strawberry Lustのボーカル。2022年に結成された同バンドでは、ボーカルと作詞に加え、アルバム・アートワークや写真などビジュアル面も担当し、バンドの美学を形作っている。シューゲイズやドリームポップを軸に、ノイズやブラックメタル、K-POP、ハイパーポップなど幅広い音楽から影響を受けた表現を展開。2024年にはStrawberry Lustとしてデビュー・アルバム『strawberry lust』を発表し、2025年にはイタリアのアーティストhoneyboiと「SILK」で共演するなど、中国国外のアーティストとの活動にも取り組んでいる。

また、DJとしても活動しており、ダーク・ウェーブ、ノイズ、EBM、ハイBPMのエレクトロニック・ミュージックなどを組み合わせたセットを展開。自身の音楽的ルーツやビジュアルへの関心をDJにも反映させ、映画のサウンドトラックやセリフのサンプルなども取り入れている。2026年2月には東京・下北沢THREEでDJセットを披露し、その後もバンドとDJの両面で日本での活動を行っている。音楽、ビジュアル、ファッションを横断しながら、現在も新たな表現を探求している。

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